㉔ありがとう蕎麦主任 忘れない
ありがとう蕎麦主任 忘れない
「ブンちゃんはもっと角が取れるといいんだけどなぁ」代々木の拠点に在籍していた時のS主任の言葉です。今でも忘れません。当時の私は間違ったことが嫌いで、一本気で正論武装という誠に好かれにくいタイプでした。正論が全てでこちらは相手の為に、相手を良くするために言ってあげているという善意以外の何物でもなく、もし、相手がこちらの正論を論破できるのならそれは認めてこちらを修正すればよいという考えが全ての行動規範になっていました。分かり易く言えば、相手の気持ちなど考えずに何でもズケズケと言ってしまうタイプ。誠に面倒くさいタイプでした。仕事においても相手の段取りが悪いと逐一指摘するのです。それは相手の為だから。だから、仕事先でSEにマジ切れされた事は枚挙にいとまが無い状態でしたし、何故腹を立てているのかも分からなかったのです。冒頭のS主任のセリフはSEから私に対するクレームをS主任に報告した時の物です。でも、「だったらもっと奴らも努力すればいいんですよ。これでお金をもらっているんだから」と私は常にこのセリフで反論していました。そこで「ブンちゃんは...」につながる訳です。WだのKだのいい大学を出ているのにこのざまですよという高卒の私のいじわるなやっかみも有ったかもしれません。
しかし、今、さすがに年を重ねた私の考えはこれとは違います。何を言いたいのかというとつまり、物事にはその先を考える事が必要だと言いたいのです。出来る側が出来ない側を追及するのは決して賢くないと言う事。その先に有るのは、相手を許す気持ちや慈悲の精神、そして何より激励が必要だと言う事なのです。常にその先その先をイメージできれば意外と悩みや問題も解決できることが多いのです。
そして、今にして思えばそれを教えてくれたのがS主任だったと思うのです。彼は強面だけどとにかく性格の優しい人でした。そして、何より人として尊敬できる人でした。S主任との出会いが無かったらもしかしたら今も考えは変わっていなかったかもしれません。時々あのセリフを思い出すと懐かしくなりますね。しかし、本当に残念ながら彼も私がFX在籍中に亡くなられた一人でした。
何故、蕎麦主任?それは夕方Uエンジニアが営業所に戻るとき、道でS主任とすれ違ったのですがこちらは訊きもしないのにS主任が「これから立ち食いそばを食いに行くんだ」とばつの悪い顔で曰ったのを面白がって「蕎麦主任」と命名したのが経緯です。