㉓生保システム納品 緊急事態発生

生保システム納品 緊急事態発生

十分すぎる期間を費やして我々はいよいよ納品当日に臨みました。このシステムは簡単に説明するならば生命保険の申込書をスキャナーでスキャンし、手書きの名前の部分と印影をデジタル処理で切り取ったものを、証券用紙に張り付けてプリントアウトするというものです。言葉では簡単ですが、それを実現するにはUNIXのミニコンがあって、トークンバスで動作するマスターとスレーブのコントローラーそして手書きの数字を認識するOCRにスキャンシステム本体を正常に動作させなければなりません。現場でシステムを設置した後、安定動作を確認するまで4~5日程度かかったと思います。こちらは生保初めてのシステムになるので、プレス発表当日はFX社のお偉方やマスコミ、そして導入先の生保会社の社長が申し込み第一号という触れ込みでシステム稼働ボタンを押すという演出が決まっていました。

さて、いよいよ運命の日がやってまいりました。参加したFXのお偉いさんや我々が固唾をのむ中、生保社長によるシステムスタートボタンが押されました。同時にパチパチ、パチパチっと一斉にフラッシュがたかれ、プレス用のカメラ撮影も始められました。

ところが、ところがです。ピーピーピーという無機質なエラー音がけたたましく発砲されました。当然システムは動きませんでした。一同が「あー」という落胆の反応の中で「なんだよこれぇ」というFXお偉いさんの他人事の様なセリフも有りました。原因は紙詰まりを検知する光センサーがカメラのフラッシュに反応してしまいエラーになってしまったのです。一度は顔面蒼白になってしまった私たちは気を取り直してシステムのリセット行い、今度はフラッシュ撮影はボタンを押す前にやってもらい、その後にスタートボタンを押してもらう段取りに変更し、今度は事なきを得てプレス発表会のイベントは無事終えることが出来ました。

しかし、今でも思うのはFXのお偉いさんの他人事の様な心無い言葉ですね。「なんだよこれぇ」。その当時、私は「あの野郎!お前らの時代なんか黙っていてもコピー機の受注があった時代じゃないかよ」と何度も心の中で反復するほど悔しかったのを覚えています。

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