どうしても分からなかったトラブルとH主任

あれはO製薬の郡山出張所での出来事。

コピー機が時々電源が落ちるというトラブルだが、
訪問した時は発生しないという難儀なトラブルだった。
全く原因が分からなくて、原因として確率の高い部品を交換して帰るのだが、
帰る途中でお客から電話が入り、また電源が落ちるという繰り返しだった。
何度も訪問したが、もう交換する部品は無くなっていた。
そして、顧客からは割と大きなクレームになっている状態だった。

その時の上司はH主任。
彼は怒りだすと顔が真っ赤になり更に恐怖心を与えるという鬼軍曹タイプ
昔はこんな人多かった。
それで、クレーム処理のためにそのH主任と私は同行してO製薬に再訪問することとなった。
到着後、カリカリに怒っている担当者にお詫びをして私たちは故障しているコピー機を
診断した。

私たちは早速診断を進めたが、10分位した時にH主任が私に行った。
「おい、これだろがぁ!」
主任が指さしたのは駆動モーターの上に乗かっている2個のスクリューねじだった。
原因はモーターの上にあるスキャンキャレッジの固定ねじが、スキャンの振動で少しずつ緩み
真下にあるモーターの接点に落下して時々ショートしていたのだった。
私は、やっと原因が分かった嬉しさはあったが、それ以上に鬼主任からのシバキが恐かった。

案の定、帰りの車の中でも主任は無言だった。これは大変なことになった。言葉が無いほど怒っている!
私は覚悟をしながら事務所に戻ったが、何と、主任からは特に何もなかった。

私の勝手な推測だが、この人は恐らく、本当に落ち込んでいる人間には被せる様には怒らないのだと思った。
十分反省している人間には強く言っても逆効果なのだと言う事なのか?とも思った。

結局、このトラブルは事前に注意情報として技術部からテキストが回覧されていたのに私が見逃したか
軽視していたのが最大の原因だった。
この情報を事前に知っていれば新人でも直せるトラブルだったのに。こんな恥は無いと落ち込んだ。

数年後、東京転勤が決まった時にどうしても気になっていたので、私はあの事をH主任に尋ねてみた。
そうしたら、主任はこう言った。「だって、あの時のお前は死にそうな顔をしていただろ?」
「俺の人助けだよ!ガハハハハ!」と言う事だった。やっぱりなぁ。

いずれにしても、この一件は、その後の自分の人生にとって大きくプラスになった経験だった。

H主任に感謝。

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