⑩お客様を泣かせてしまった。
お客様を泣かせてしまった。
某金融関係の顧客先でネットトラブルでの出来事です。その日は新人のSを連れて顧客を訪問していました。
ここはフロア内での全ネット停止という大変なトラブルでした。この時私には少しでもダウンタイムを減らさなければという気持ちの焦りが
有りました。私はトラブル診断を進めるに従ってどうしてもLANケーブルのフロア内の敷設図が必要になりましたので、総務の担当の女性にフロアのLANケーブルの敷設図が必要な旨を伝えました。が、女性からは「ちょっと分かりません」と即答のつれないお返事をいただきました。「無いわけないじゃん」という心の声が呼び水となり私は少し苛立ちましたが、こちらにはダウンタイムの焦りもあるので、「それが無いとトラブル修復が進まないので何とか探していただけませんでしょうか?」と苛立ちながらも精一杯の丁寧な言い方で再び伝えました。ところが担当の女性は「そういったものは見たことがありません」と、再びつれない返事を繰り返すばかりです。「そもそも探す気あんのかなぁ?」
二度目の心の声により苛立ちが頂点に達した私は「いや、絶対にあるはずです。ビルの管理者に問い合わせてください!」と少し強い口調で言ってしまったのです。女性は私の勢いに圧倒されたのか仕方なくビルの管理者に問い合わせをしたところ、やはりそこに敷設図があり、ビルの管理者がこちらに持ってくることになりました。そこで私の余計な一言が飛び出した。「ほら、あったでしょう!絶対に有るはずなんですよっ!」と「はい….すみませんでした…….」女性の目には涙が潤んでおり今にも溢れ出さん勢いでした。私は少しびっくりしましたが、それよりもトラブル修復の焦りが強かったのでその時はそれほど気にもせずに無事に修理作業を終えました。
帰り道の車の中で新人のSが私に言いました。「あの娘泣いていましたね。」おそらく私の振る舞いは反面教師として彼の目には映っていたのでしょうね。
いくらこちらに間違いが無いと思っていても、お客様に対し正論を武器に論破をすることや強烈な言葉でねじ伏せても一切何の特にもならないし、むしろ信用失墜に繋がる危険な行為であります。愚かな私は、その後はとても気になり、池袋の西部でハンカチセットを購入し、後日、女性にお詫びに行きました。ちなみに女性は「いいえ、大丈夫です」と少し微笑んでくれましたが、…目は全然笑っていませんでした。
悩み多き新人だった頃の根暗な自分にはもう会えそうにありません。