④根暗は嫌

さあ、N主任が出向で去っていきました。
自分にとってこれはとても良い出来事だったのですが、一番問題なのはこの根暗な自分の性格です。
質問できず、成長できずの状態は主任が代わってもずっと続きました。
このままでは会社を辞めることになる。最初の会社を辞めた時と同じじゃないかと自問自答が相も変わらず続いていきます。
性格を変えなきゃ仕事が出来ないなら性格を変えるしかない。分かってはいるけれどそこまでの度胸がありませんでした。


ある日実家に帰った時の事。別に親に相談をした訳ではないけれど親の常套句「仕事はどうだ?」とお決まりのセリフを言われ
まあ、こんな様なことだと話をしたところ、「アンタは小さいころはおかしなことばかり言って皆を笑わせていたんだけどねぇ」と言って奥の部屋の引き出しから小学生の頃の通信簿を出してきました。(因みに図画工作と音楽と、体育以外はオール3の通信簿ですけど。)
母親が皴しわの指でさしたのは担任のコメントです。そこには確かに「面白いことを言ってクラスの皆を笑わせてくれます」。
というような趣旨のコメントが確かに書いているではないですか。
このことが十分な引き金になったとは言えませんが、決意の足りない部分を補うには役に立ったのかもしれません。
意を決した私は次の日の出勤日からこうしようと決めました。
①朝の挨拶は大きい声で行う。
②分からないときは明るく先輩に質問する。
③面白いことが頭に浮かんだら必ず発表する。

さっそく次の日実行すると「お?どうした根暗?」「おい、みんな!根暗が明るくなっちまったよ雪でもふるんじゃねぇ?ガハハハッ」
その瞬間、私の顔は恥ずかしさで真っ赤になりましたが、一度腹を決めたのですからここで引き返すわけにはいきません。
ひるまずに大声で「これが本当の自分でーす。済みません隠していましたー」すると、「ホントかよ?ハッ ハッ ハッ ハー」皆は大爆笑です。
これが、やっと訪れたウェルカムの瞬間です。皆も本当は心配していてくれたんだ。
特に、良かったなとニコニコしてくれたS主任の顔は今も忘れません。
そして、母ちゃんも有難う。

それ以降は、ずっとこの調子です。今もね。
この件も自分の人生に大きな分岐点となりました。

私見だけど
人間の本質なんてみんな臆病で小心者なんじゃないかなぁ。
あのジョンレノンだってコンサート前には緊張で嘔吐していたと証言しているしね。
人は同じ臆病だけれどそれをコントロールするメンタルに差があるだけだと思うね。

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