②ただで運転免許事件

ただで運転免許事件

私は当時、面接の時点では運転免許を持っていなかったのです。うちは貧乏だと言い張る両親がまだ早いという理由で高校の時に取らせてもらえなかったのですよ。でも、サービスマンなんて車でお客様を訪問する仕事だから、折角ここまでこぎつけたのにこれで落ちてしまうのではないかと、とても不安があったのです。さあ、いよいよ面接の最後に「質問はあるか?」と訊かれた私は、仕方なく運転免許を持っていないことを告げました。
すると面接官は「あ、大丈夫ですよ。就業時間内に教習所に通っていただいて取得してください 費用も会社が持ちますので」と予想外の即答ではないですか!(向かって左のやさしいおじさんの方ですよぉ。お世話になります。)
なんてすばらしい会社だ!タダで免許を取らせてくれるなんて!そうか~そんなに私を採用したいのか!うんうん!と、恥知らずのうぬぼれもご容赦願います状態。しかも、お金を出費しなくて済むのだから父ちゃん母ちゃんにもタナボタの親孝行が一瞬にして完了。アンタらの息子はそつがない。
これは泣きたくなるほど辛かった今回の面接の中で唯一の光明でした。「儲かってんだな~この会社」というお決まりのアゲ台詞を再出動です。
でも、タダで取らせてくれるのは有難いが、落ちたらシャレにならないのでプレッシャーは半端なかったですね。

当時、庭坂運転免許センターは合格者の発表は番号のランプが一斉に全点灯し、不合格者のランプが消えるという仕組みでした。私も自分の番号を確認したのですが、なんと、ガーン!消えてしまいました。そんな馬鹿な!うそだろと狼狽えていた時、パカッとランプが点灯しました。 あ、やっぱり合格だったんだと安堵した瞬間、パツンと再消灯。ランプごときにもてあそばれた私はさすがに窓口に行って確認しました。すると、「あ、接触不良ですねあなたは合格です」とようやくお墨付きをもらうことが出来ました。もう、本気の安堵ですよありがとう。

まあ、いずれにしても最短で免許証を取得できたのは良かった。これで会社にも面目が立つし、会社に対する礼儀だからね。

しかし、この事件が、それ以降の私の69点の人生を暗示しているかのようでした。

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