①カスタマーエンジニアの思い出エピソード
新人時代
「バカこの!!」いつものW先輩の口癖である
厳しかったよなぁあの時代は。
話は40年前に遡りますが、㈱H電子サービス社に新卒で入社後、色々と挫折をし、こころ折れ六ケ月で辞めて実家に戻ってきた私は三か月間パチンコ三昧のプータロー生活に甘んじていました。しかし、家族からの執拗な批判(稼ぎのない奴は飯を食うなとか)にさらされた私は仕方なく再就職先を探していました。そして、その翌年の正月の地元新聞の求人欄に大手(FX社)の求人があったので、とりあえずささっと応募しました。なんと、これが運よく書類審査も面接も無事に通り私はこの会社から中途採用の合格通知をもらうことが出来たのです。家族よ、ざまーみろです。しかし、それからがとても大変でした。だって、採用の電話が来たのが金曜日の午前中ですよ。「来週の月曜日から東京で中途採用者の研修だから今から福島営業所に書類を取りに来てください」と電話口での冷静な事務員さんの声。えー?受かったのは嬉しいけれど準備が間に合うのかなぁ。忙しい会社だなぁ。もうあと2日しか無いではないか?どうする?急なことを言うよねぇ。しかし、私はそれでも言われたとおりにすると決めていました。だって、FX社は印象がすこぶるよかったのです。当時、採用試験後にお車代なるものが渡されるのですが、ここよりも先に試験を受けた地元の企業は電車代ぴったりの清算だったのですけれど、FX社からは5,000円の入った封筒を渡されたのです。貧乏人にはもうこの時点で心臓を鷲掴みされたようなものですよ。「すげー儲かってんだなぁこの会社」FX株は急上昇の好印象であります。
因みに採用試験は少しユニークでした。学科などは無く、筆記は知能テストのみ。実は知能テストは昔から得意で特に指定時間内に決められた文字を出来るだけ多く書く問題にはコツがあって、特に自信があったのです。生まれつき単純作業を多くこなすのはとても得意なのです。あとは展開図を組み立てるやつとか時間内の単純計算と文法直しもまあまあ得意。なので、このテストは難なくクリアしたのでしょうね。
ところが、次の面接が簡単ではありませんでした。
面接官は3人で向かって左が優しそうなおじさんで右が若いお兄さん。そして正面に座っている強面のおじさん。
で、この人がすこぶる態度が悪い。「で、友人は何人いるのぉ?全部名前と特徴を言うてみい」
とか、「趣味は将棋?はぁそんなに暗い趣味のどこが良いんだぁ?いうてみい!」とか。とにかく戦闘モードばんばんだし、腕を組んで半端ない威圧感なのです。次から次と攻め立てられ気づけば自分の目には涙が潤んでいました。怖いからとかではなく。何故ここまで言われなければならないのかの理不尽さが悔しかったのです。私の状態を察した左のおじさんが「もう少し我慢してくださいね、貴方には可能性があるから時間をいただいているので」と気遣いのお言葉を頂く始末。そんなこんなで我慢をしながらも巧みな鞭と飴に翻弄されながら、やっと面接を終えるのでした。「チクショウ、面接落ちたらあの会社に絶対に苦情を言ってやる」と固く心に誓ってその日は家に帰るのでした。後でわかったのですが、中央のおじさんはサービス管理課の東北のセンター長で敢えてそのような面接手法を行ったと言う事でした。
例えば、訪問先のお客に文句を言われてぶちぎれる様な奴はカスタマーエンジニアとしては採用できないのでしょうね。
センター長はそこを見ていたのとのこと。まぁ受かった以上は納得するしかないですね。