⑦天下の東京
さあ、東京に引っ越しです。
今は準備段階です。最初に異動先のアパートを探さなければなりません。ところが、人事課が提案してきたのは風呂なしの物件でした。
が、これにはさすがに参りました。風呂無しなんて、かぐや姫の神田川の世界じゃあるまいし冗談ではない。ここは絶対に抵抗しなければなりません。 H主任もそう思ったのか人事に掛け合っていただいて結果的にユニットバスのシャワー付きの物件に入ることが出来ました。
今回の異動に関しては本当に申し訳ないと思っているH主任。厳しいけどこんな人間味のある人だったのだ。
すこし見直してあげます。
さあ、いよいよ東京に引っ越しです。アパートの場所は板橋区中板橋の駅前の物件です。1階と2階の4部屋の新築アパートを会社が社宅として契約しました。私は2階の201号室です。私は午後に到着したのですが、引っ越し屋さんは少しだけ先に到着したみたいでした。部屋の鍵を開けると荷物はあっという間に無事に運びこまれました。
ところが、全部の荷物を入れたら私は気づいてしまった。狭い!いやー狭い!ここは5.5畳の1Kです。荷物に埋もれてボケーっと部屋の中央に座った私は数分間ショックで動けませんでした。どうしよう?こんなに狭いとは思わなかったよ。今更落ち込んでいても仕方がないのは分かっていますけれど....とにかく荷物を整理しなければ寝ることもできません。落ち込んでいる暇はない。ここは天下の東京だ!負けるわけにはいかない!私は気合を入れて片付け始めました。
「ふう、ようやく片付いた」。ところが.....「ガターーンガタンガタン」!! 「ガターーンガタンガタン 」!!!
え?部屋が結構揺れている??そうです。ここは東武東上線の沿線だったのです。しかも線路にとても近い立地。
そうかぁ。駅前の物件だもんね...でも、ウン、近くていいじゃん.......と必死に言い聞かせる自分がいます。今まで電車は何度も通過しているのにさっきまでは必死だったから気が付かなかったのだろうか?私は再び部屋の中央に佇むのでした。
落ち込んでいる暇はない。ここは天下の東京だ。! 負けるわけにはいかない!